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by Alex プロフィール
シアトル在住のAlexです。
ソフトウェアデベロッパーをやっていましたが現在は休憩中。日本にいるときには役者をやってたりしました。歌ったり踊ったり、食べたり飲んだりが大好きです。 ● 詳しいプロフィール ● 旅行記メニュー (個人的に連絡を取りたい方は、メールアドレスの入ったメッセージを非公開コメントとして残していただけると嬉しいです) カテゴリ
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3月3日(土): メッスへの旅と、坂本龍一コンサート
なぜメッス(Metz)への一泊旅行に出かけることになったのか?
当初は、パリに着いてこんなに早く旅行をする気は全くなかった。フランス語の学校が全部終わった後、落ち着いたら日帰り旅行でもしようかと思っていた。 きっかけは、パリのことを調べているうちに見つけた坂本龍一のコンサート。ポンピドゥーセンターで彼のコンサートがあるらしく、日程がピッタリ合う。これは行かねば!ということで、早速チケットを買っておいた。 さて、パリに発つ一週間ほど前。忘れ物がないように色々とプリントアウトを集めているときに、ふとコンサートのチケットが目に入った。細かい文字を訳しながら読んでみると、「TGVでパリから1時間20分」との表記が。……え? そういえばチケットには、Centre-Pompidou Metzの文字がデカデカと。え、Metzってもしかして別の街なの? ポンピドゥーセンターってパリだけじゃなかったの?? なぜか自分の中では、Metzっていうのはポンピドゥーセンターの中のコンサートホールのことかなと思ってた。きゃー!! 調べてみると、コンサートが終わる時刻にはパリに戻る電車はない。行くとなると、どうしても一泊旅行になってしまう。パリに着いてすぐに一泊旅行って、心の準備が…! 仕方がないので、せっかく買ったチケットだけど諦めようと思ってた。Facebookにそのことを書いたら、ほとんどの人が「行くべき!」と勧めてくれる。ある人が貼り付けてくれたメッスのリンクには、川の横に建つ古い建物が写っていた。なんかいい雰囲気だなぁ。結構よさげな街だし、ホテルも結構安いみたいなので、結局思い切って行くことにしてしまった。こういうのって縁だし、この名前も知らなかった街に呼ばれてるとしか思えなくなってきた。こんな動機もたまにはいいよね。 てなわけで、パリに到着した3日後に、メッスへの一泊旅行となったわけ。 朝7時半ごろ起床。9時にアパートを出た。来週から行く予定の語学学校の近くにマクドナルドを発見したので、そこを朝食代わりにチェックしようと思ってた。そこはターミナルで注文できるから便利なんだけど、食べたかったハッシュポテトはないし、コーヒーは別のところでもらわなきゃいけなかったりで、不便な点もあったり。久しぶりのマクドナルドでの朝食は美味しかったけどね。 この後は東駅まで歩こうかと思ってたんだけど、メッスで観光する前に足が疲れたら困るなと思い始めたので、Les Hallesの駅から地下鉄に乗っていくことにした。東駅の構内はちょっと寒いので、電車のホームに行く前のところにヒーターのようなものがいくつか置いてあって、電車を待つ人たちはその周りにたむろしてたのが面白かった。 パリを10:40に出発したTGVは、ほとんど時速300km以上で飛ばしてた。窓が汚くて景色がよく見えないのが残念! 途中で何かが電車に当たる音がずっと続いた場所があったけど、あれはみぞれか雹だったのかもしれないな。そこら辺から地面がどんどん白くなってたもの。 メッスには12:04に到着。駅のすぐ目の前のホテルにはまだチェックインできなかったので、荷物だけ置かせてもらって観光に出かけることにした。 まずは駅の反対側にあるポンピドゥーセンター・メッス。ここは日本人の建築士によるデザインらしく、流線形の屋根がとても美しい。ここではThe Adventure of Colour、Dumb Type、Japanoramaという3つの展示があった。 The Adventure of Colourは、その名の通り派手な色をふんだんに使ったアートを集めてあって、典型的なモダンアートだなって感じのものが山ほど。目の覚めるような色ばかりあって、すごく楽しかった。 Dumb Typeは日本人アーティストのグループで、ハイテクっぽいアートばかり。点滅する光や、ビープ音、コンピュータのディスプレイなんかが多用されていて、モダンアートの中でも一線を画している感じ。ここでは一番印象に残った展示だったかな。 ![]() Dumb Typeの展示の一つ。ランダムにターンテーブルが光って音を出す ![]() 床に色々な言葉が書いてあって、その上を巨大な蛍光灯が光りながら移動する Japanoramaは様々な日本人アーティストによるアートを集めてある展示で、これは綺麗なものから不気味なものまでピンキリだった。ピカチュウのリアル版のようなネズミが渋谷を襲ってるアートは面白かったし、ジョン・レノンの妻ヨーコ・オノのアートも何点かあった。草間彌生のミラールームも一つだけ展示してあってビックリしたし、YMOの歴史とアートみたいなコーナーもあって、今夜のコンサートの前にピッタリだなとか思ったりした。 ![]() ピカチュウ、どうしちゃったのー? ![]() Yoko Onoの作品 ![]() 草間彌生のミラールームがここにも!! ![]() YMOのアートの歴史 ![]() そういえばこれも記憶にあるぞ モダンアートってわけわからないものばかりって先入観があったんだけど、このポンピドゥーセンター・メッスは最近行った美術館の中で一番楽しめた場所になった。 ![]() 建物自体もとても面白い。日本人建築士が手掛けたもの 約1時間半モダンアートを楽しんだ後は、メッスの街の観光に行こう。まずはサン・マキシマン教会(Paroisse Saint-Maximin)。小さな教会で、ドアに「ご自由にお入りください」って張り紙がしてあったので中に入ったら、なんと誰もいない。ここはジャン・コクトーによるステンドグラスが有名らしい。幾何学的模様かと思いきや、その中に鳥や顔や植物などの有機物を感じさせる。どことなくガウディに通じることがあるかなとか考えてしまった。誰もいない静寂の中、ゆっくりとステンドグラスを鑑賞することができた。 ![]() ジャン・コクトーによるステンドグラスは有機的に思える 次はこの街で一番大きなサンテティエンヌ大聖堂(Cathédrale St-Etienne)に向かう。大きな広場の横に巨大な大聖堂がそびえていて、その姿は圧巻の一言。入口にテープが張ってあったので一瞬閉まってるのかと思ったけど、すぐ横の観光案内所で聞いてみると、入口は反対側にあるらしい。 ![]() サンテティエンヌ大聖堂はすごい迫力 大聖堂の中もかなりの迫力で、バラ窓はノートルダム大聖堂を彷彿とさせる。ステンドグラスもかなり凝ったものがたくさんあるんだけど、よく見ると二つの異なるスタイルが混在していることに気づいた。一つは普通の宗教画で、もう一つはもっとモダンな感じ。調べてみたら、これは20世紀にシャガールが手掛けたものらしい。なるほど、言われてみたらシャガールっぽい。バイオリンを弾いてるヤギがいてもおかしくない感じ(笑)。でも新旧スタイルのステンドグラスが混在しているからか、違和感は否めなかった。美術的にはとても面白かったけど。 ![]() シャガールによるステンドグラスは他とは一線を画してる 大聖堂を出た後は、モーゼル川を渡った中洲にあるタンプル・ヌフ(Temple Neuf)へ。川の向こうに見える小さな教会の姿は、この街を代表する景色のようだ。教会の周りはかなり雪が残っていて、とても寒々としていたけど、なんだか異世界みたいな感じに思えて楽しかったな。モーゼル川の一部が凍っていて、そこで鳥たちが羽を休めている姿も見えた。 ![]() タンプル・ヌフは現実離れした光景 さて、メッスに着いてからずっと歩き回ってたから疲れちゃったよ。それに朝以来何も食べてないから、お腹も空いた。どこかのレストランに入ろうかと思ったんだけど、時間的に中途半端なので、今食べると夕食が食べられなくなるし。そんなこんなで迷っていると、有名なパン屋チェーンのPaulが見えたので、そこでクロワッサンとチョコパン買ってホテルに戻ることにした。 ホテルにチェックインして部屋に入ると、窓の外は雪が降ってる! 帰り道では全然降ってなかったから、チェックインしている間に降り始めたらしい。なんだか今年の冬は雪を見る機会がたくさんあって嬉しいなぁ。窓の外に降る雪を見ながら、しばらく昼寝することにした。 昼寝の後、夕食はホテルの横にあるイタリアンレストランで食べようかと思ったんだけど、なぜか食べ物は出していないと言われた。時間的に早すぎたのかな? 周りを探してみても惹かれるレストランがなかったので、結局駅の売店でサンドイッチとソーダを買ってホテルで食べることにした。 いよいよ坂本龍一のコンサートだ。開演は20時だけど自由席なので、1時間くらい前に行くことにしよう。19時くらいにポンピドゥーセンター・メッスに着くと、もう10人くらい並んでた。早めに来てよかったぜ。19:30くらいに開場してコンサートホールに通されると、なんと最前列がまだ開いてるじゃないですか! 僕の前の中国人の女の子3人組はなぜか2列目に座ったので、僕は最前列の席をゲットすることができた。ステージは僕と同じ高さだし、楽器までも3mくらいの距離なので最高のロケーション! たくさん楽器のようなものが置いてあるので何人も出てくるのかと思いきや、開演時間に静寂の中から出てきたのは坂本龍一の一人だけ。どうやら彼が全部楽器を使うらしい。 このコンサートDis・playは、彼のアルバム『async』を演奏するものだということは知ってた。『async』は買ったけど、音楽というより効果音に近いような曲が多いので、はっきり言って好みのアルバムではなかった。映画のシーンのバックグラウンドに使うのが一番って感じの曲ばかり。一番最初の曲andataは、その中でも唯一普通の曲らしい曲。 でも椅子に座った坂本龍一がそのandataの演奏をし始めると、ピアノに何か細工をしてあるらしく、変な不協和音やピアノの弦に何か挟まっているような音が聞こえる。原曲を知っているだけに、なんかピントがずれた絵画とか、錯視で頭が混乱するような絵を見ているときのように、頭がなんとか整合性を探そうとしている感じで、聴いていてすごく疲れてしまう。まぁアートってリラックスできるものばかりじゃないので、こういうのがあってもいいんだろうな。それにしても非凡だ。 スクリーンには砂嵐のようなものが映ったり、自然の景色をコンピュータで加工したものが映ったり、曲に合わせてどんどん情景が変わっていく。これはDumb Typeの共同創立者の高谷史郎の作。よく見るとステージの右奥に、ラップトップの前に座っている人が見える。あれがたぶん彼なんだろう。次のシーケンスに移るタイミングを、坂本龍一と目配せでやり取りしているみたいだ。 坂本龍一はといえば、巨大なガラス製の鉢のようなものを擦って反響音を作ったり、ベースを使って黒板を爪で引っ掻くような音を作ったり、シンセサイザーに繋がれたガラスを棒で操って様々な高さの音を出したり、ピアノの弦の上にネックレスのようなものを落として音を出したりしてた。ピアノの弦の音を出すときには、そこで何が起きているかがわかるように、その状況もカメラで捉えてスクリーンに映し出されていた。さっきのandataのときに何か挟まってるような音が聞こえたんだけど、それもそのはず、弦をたくさんのクリップで挟んであった。 彼が様々な音を出す姿を見ているのも面白いんだけど、スクリーンに映し出される色々な情景は、確かに曲にピッタリな気がして、いかにこの『async』が映画の世界で活躍できるかを再認識させてくれた。 いやいやいや、でも本当に非凡もいいとこ。『async』を聴いたことがない人が会場にいたら、なんだこりゃ??ってなっちゃうと思う。坂本龍一の音が作り出す緊張感がものすごくて、肩がこって仕方がなかった。それでも75分の演奏が終わった後は、なんだか夢を見た後のような気になってたし。本当に貴重な体験をしたと思う。メッスに来ることにして本当によかった。このコンサートを聴いたことが、僕の人生にとって何か意味があることなんだろうなぁ。 アンコールの演奏はなかったけど、一度だけ戻ってお辞儀をしてくれた。目の前1mくらいのところを彼が通ったときに、なんとなく無意識に軽く会釈したら、彼もなんとなくそれに応えてくれて、ミーハーにもとても嬉しかった。 ![]() こんな近くで演奏が聴けて感激! 興奮してホテルに帰ったんだけど、そのまま部屋に帰るのは惜しい気がして、ホテルの隣のバーに入ってビールを一杯飲んで心を落ち着けた。いやはや、充実した一日だった。 ![]() 夜のメッスはとてもチャーミング ![]() 電車の駅も夜はこんなに輝いてくれる
by alexsea
| 2018-03-03 00:00
| パリ生活2018
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