後ろ髪

今日は祝日なので、面会は11時から可能。外は雨が降っているけど、予報によると昼過ぎには止むらしいので、その頃行こうと思ってた。でも兄もお見舞いに行くらしく、車で乗せていってくれるらしい。これはラッキーと乗せてもらったけど、病院に着いたときに気がついた。僕、何も食べてないじゃん！ 自転車で行くときに途中でコンビニに寄ろうと思ってたんだけど、車で来たもんだから完全に忘れちゃってた。病院の隣にあるスーパーに兄に乗せてもらって行って、そこで弁当を買うことにした。

今日は母用に昨日の夕食の残りを少し持ってきてあるけど、母が食べたいと言っていた餃子がスーパーで目についたので、僕もそれでいいやと12個入りの餃子とおにぎりを買うことにした。母が何個か食べて、その残りを僕が食べればいいだろう。

病室に着くと、母は今日の点滴が終わったばかりらしく、ちょっとだけ元気な感じだった。昨日あたりからビタミン入りの点滴に変わったので、やっぱり水分と栄養を少しでも補給できると元気が出るんだろう。餃子があったので買ってきたというと、母はすごく嬉しそう。やっぱり何か食べたいものが頭にあるときには、それが一番食欲がわくよね。母は2つほど餃子を食べて、昨日の残りの鶏肉とご飯を少しだけ食べただけで終わっちゃったけど、餃子がとても美味しかったと言っていた。

母と一緒に餃子を食べた

兄は30分ほど居ただけで帰ってしまったけど、僕は病室でずっと日記を書いたりテレビを見たりしていた。兄のことも話したりした。甥も姪も適齢期なので、兄としては早く結婚してほしいらしい。親がそう言ったところでできるものではないし反感を買うだけだと言っても、兄は考えを曲げないみたい。ちょっと考えればわかりそうなものなのにな。ま、僕の問題じゃないけどね。嫌われちゃっても知らないぞー。

母にはこの間ふと思いついた、ずっと昔に母と一緒に乗った電車の中での出来事や、デパートで迷子扱いされたときのことも話したりした。母はまるっきり覚えてないらしいけど、子供は親のすることを本当によく見てるよねって話題になった。親がいくら口で言っても子供は覚えないかもしれないけど、親の行動は本当によく見ていて、そこから学ぶんだと思う。僕もそうだったもんな。「空気を読む」ことは、母の実際の行動から体で感じて覚えたんだと思う。

4時間ほど病室にいて、いつものように一緒に『科捜研の女』を見たりした後は、僕はタクシーを呼んで家に戻ることにした。病室を離れるときには、いつも後ろ髪を引かれる思いがする。まだ先のことだとは思うけど、今日この別れが最後だったらどうしようと急に不安になることもある。それがいつかは誰にもわかるものじゃないし、そうなってしまった時に後悔しないように毎日面会に来てるんだけどね。でもやっぱり、完全に後悔しないって不可能な気がする。

義姉と姪も、僕の後にお見舞いに行ったらしいけど、その時に痰がつまる話をしていたら、母がちょっと吐いてしまったらしい。昔から味や匂い、そういうことを想像しても吐きそうになる人だったんだけど、今は病気のせいでもっと敏感になっているんだろう。二日酔いの朝みたいな感じで、ちょっとしたことでムカムカしちゃうんだろうな。僕も昨日の朝経験したばかりなので、すごくよくわかる。吐き気止めも点滴に追加してもらわなきゃダメなのかなぁ。

夕食までゆっくりした後は、今夜は休日出勤の甥以外のみんなで鍋。ちょっと辛めのスープに、ソーセージや餃子、豚肉、もやしなんかが入っていて、とても美味しかった。一通り食べた後は、インスタントラーメンの麺を投入。もうお腹がいっぱいだったけど、麺は絶対に食べ残せない。シアトルの宇和島屋にも、こんな感じの鍋の素を売ってるといいんだけどな。

夕食は美味しい鍋！

部屋で友達とチャットしたりしていたら、気がついたら12時近く。明日はまた温泉に行ってから面会に行こうと思う。