フランス2019: 母に背中を押された旅

朝5時過ぎに起きて身支度を整え、最終的な荷造りを終わらせた。このアパート、バスルームまわりで色々と不満があったけど(シャワーホルダーがないのでシャワーをいつも手で持ってなきゃいけなかったり、便座が上げた位置で止まってくれなかったり)、立地が素晴らしかったし値段も手頃だったし、すごくいい2週間の滞在ができた。

お世話になったアパートにもお別れ

6:15頃アパートを出て、まだ真っ暗な中を駅まで歩く。ゴミ収集の人たちがいるくらいで、他にあまり歩いている人もいないので、ちょっと緊張してしまう。空港には7時過ぎに到着。まずこの間買ったコロンの税金を返してもらうために、チェックインカウンターの手前のPABLOターミナルで、店で貰った書類のバーコードをスキャンした。え、本当にこれだけでいいの？って感じだったけど、店の人が言うには3週間くらいでクレジットカードに返金されるとのこと。簡単でいいけど、本当にちゃんと戻ってくるかどうか目を光らせていないといけないな(笑)。

(EDIT: 約5週間かかったけど、ちゃんと戻ってきてました)

大きな荷物を預けた後は、さっき見かけたマクドナルドがどうしても気になってしまったので、そこまで戻って朝食にすることにした。€6で2つのマフィン、コーヒー、オレンジジュースって、マクドナルドにしては結構お得かもしれない。マクドナルドの朝食メニューなんて旅行に出てる時にしか食べないので、これがしばらくの食べ納めだ。

マクドナルドで朝食

大混雑のパスポートチェックとセキュリティを通り抜けた後は、前にも来たことがあるターミナル内の美術館にちょっと寄ってみることにした。今回は写真展。昔のパリの写真がたくさん展示されていて、街並みやファッションなんかの遷移を見るのがとても楽しかった。知っている場所の昔の写真を見るのって大好きだ。あと10年くらいしたら、昔の写真から3Dデータを作成して、その中を自由に歩き回ることができるVRみたいなものも出てきてほしいなぁ。

ターミナル内の小さな美術館は、いい時間つぶしになる

とてもアーティスティックで、こういうの大好き

交通整理をするお巡りさん

今とは全然違うけど、ポンピドゥーセンターの辺りらしい

パリを10時半頃飛び立った飛行機は、シアトルまでの直行便。中はかなり空いていて隣に誰も座らなかったので、2人分の椅子を使えて大ラッキー！ こんなのって初めてかもしれない！ 2人分の椅子だと横にはなれないけど、隣の人を気にすることなくのびのびとできるので、ストレスの度合いが全然違う。

それと、ただのエコノミークラスだというのに機内食サービスが少しレベルアップしたみたいでビックリした。メニューに引き続いてウェルカムカクテルが配られて、食事も少しだけ高級感のあるトレイに乗って出てきた。先月シアトルからパリに行った時にはまだ普通だったから、11月から変わったのかもしれないな。食事のクオリティも、心なしかアップしたような気がする。他の航空会社と差別化を図ろうとしているのかもしれない。デルタ航空ってあまりいいイメージはなかったんだけど、こういうことをしてくれると応援したくなってしまう。

デルタ航空のレベルアップした機内サービス！

クオリティも心なしかアップした気がする

2人分の席を自由に使えるので少しは眠れるかと思ったら、やっぱり20分ほどウトウトしただけでギブアップ。仕方ないので、ずっと映画を観ていた。『Lion King』、『Apollo 11』、『Anna』、それと到着前にはTVシリーズの『Big Bang Theory』を何話か観た。『Lion King』はCG版。昔のアニメ版の完成度がとても高かったので、なんでそんなものをリメイクするかなぁって懐疑的なところがあったんだけど、実際にリメイク版を観たら、毛のフワフワ感がすごくてとても可愛い！ アニメほど顔の表情を作れないという制限の下で、よく感情表現をしたもんだと感心した。『Anna』もちょっと変わったスパイ映画で面白かったな。

到着直前。僕の家は飛行機の真下で見えない！

シアトルには12時頃到着。入国管理も税関もすいすい通り抜けて、Uberを使って13時には家に辿り着いた。いやー疲れた疲れた！

日本での2カ月の滞在の後、すぐにまた1カ月の旅行。体には結構ツラかったけど、心には必要な旅だったと思う。もう絶対に行けないと思っていたこの旅行だけど、亡くなった母に本当に背中を押されたような感じだった。旅の最中も、ちょくちょく母のことを考えていた。土産物屋で母の好きそうなアイテムを見つける度に一瞬手を出しそうになってから、もう買わなくてもいいんだと気づいたり、15年半前に母と一緒にパリの街を歩いたことを思い出したり。そりゃ母がもういないということを考えると寂しいけど、街歩きをしていると寂しさが風に溶けだしていくような気がする。ああ、やっぱりこの旅は僕にとって必要なものだったんだなと、改めて何度も思った。

この旅行に送り出してくれて本当にありがとうと、心から母にお礼を言いたい。