プロフィール
シアトル在住のAlexです。
ソフトウェアデベロッパーをやっていましたが現在は休憩中。日本にいるときには役者をやってたりしました。歌ったり踊ったり、食べたり飲んだりが大好きです。 ● 詳しいプロフィール ● 旅行記メニュー (個人的に連絡を取りたい方は、メールアドレスの入ったメッセージを非公開コメントとして残していただけると嬉しいです) カテゴリ
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ロンドン2022: 霧のグリニッジ
夢の中に祖母が出てきた。近いうちに死んでしまうらしく、「会えなくなるのは寂しいよ」と泣きそうになりながら祖母に言っていた。「本当に今までありがとう。おばあちゃんとママがいなかったら、今の僕はありえなかったよ」と心からの感謝を伝えた。それに対する祖母のリアクションは覚えていない。
祖母が亡くなってからあと一週間ほどで丸35年。夢の中でこんな風にはっきりと会話できたのは、すごく久しぶりな気がする。 朝6時頃起床。立ち上がってみると、昨日の足の痛みが嘘のように消えている。心からホッとした。これなら旅が続けられる! 休んだら自然に治っただけなんだろうけど、どうしても祖母が助けてくれたように思えて仕方がなかった。パニック発作も、母が亡くなってから一度も起こってないし。祖母と母にずっと護られているように感じる。この感謝の気持ちは持ち続けていたい。 今日はグリニッジ(Greenwich)の方まで足を伸ばしてみる予定。8時頃アパートを出た後は、昨日行ったけど人でいっぱいだったGranier Bakery Caféに再挑戦。今回は席がたくさん空いてる! バタークロワッサンとパン・オー・ショコラ、それにカプチーノで朝食にする。パリのには及ばないけど、それでも充分に美味しかった。 シンプルだけど身に染みる朝食 Queenswayから地下鉄に乗って、BankでDLRに乗り換える。DLRはロンドンの遥か東の方まで伸びている路線。自動運転なので一番前に座ると景色がいいことを聞いていたので、一つ見送って一番前の席をゲット。電車が外に出ると、周りは霧に包まれている。えー、「霧のロンドン」って言うけど、あれは昔煙突の煙で空気が霞んでいたことを表す表現だって聞いたばかりだったのに、これじゃその言葉のままじゃないか。まぁこういうのも、雰囲気があっていいんだけどね。DLRがCanary Wharf辺りを走っている時には、ビルの間をぬって行くので、東京でゆりかもめに乗った時のことを思い出した。あれもこんな感じだったよな。 DLRの一番前の席からの景色 僕はIsland Gardens駅で下車。ここからグリニッジまでは、テムズ川の下を抜ける歩行者用トンネルがあることを調べておいたんだ。エレベーターを降りると、どこまでも続く長い長いトンネル! こういう風景大好きなんだよ! “No Cycling”って書いてあるにも関わらず、たくさんの人が自転車で通っていってたのも笑ったし。10分ほど歩くだけで対岸に着くんだけど、とてもいい経験になった。 テムズ川を渡る歩行者用トンネルの入り口 どこまでも続くかのように見える長い長いトンネル トンネルの両端には、階段もあるけどみんなエレベーターを使ってた 対岸でエレベーターを上がると、目の前にはすぐにカティー・サーク号(Cutty Sark)が! 船にはあまり興味はないとはいえ、この規模のものがドーンと置かれていると、やっぱり迫力があるな。旧王立天文台には最初から行こうと思ってたんだけど、調べてみたらこのカティー・サーク号との共通チケットが£25で売られていたので、それを買ってしまうことにした。近くのコーヒーショップでちょっと時間をつぶした後、予約の10時に最初の客としてカティー・サーク号に入場。 いきなり目の前に現れるカティー・サーク号 19世紀に、紅茶などの世界的な運搬を担っていたカティー・サーク号。まず一番上のデックに出てみよう。霧の中とはいえ、船の上に立つのは気持ちがいい。船員がどんな場所で暮らしていたかとか、船長の部屋やダイニングルームの展示もあって、思っていた以上に楽しめた。ベッドがすごく小さいのが気になったんだけど、説明を読んでみると、船が揺れた時に壁に足を踏ん張ってベッドから落ちないための設計らしい。なるほどなー。 一番上のデッキからの眺めは気持ちがいい 船員たちが暮らしていた部屋 キッチンには汚れた皿も置かれていて生活感があった 下のデックでは、貿易風を上手く使って旅をするゲームがあって、これは面白かった。シドニーからロンドンまで僕は135日かかったんだけど、キャプテンWoodgetはそれを73日でやり遂げたらしい。最初の進行方向からして僕とは正反対だった(笑)。 シドニーから僕は西へ、キャプテンは東へ 船員が食べていたものの展示もあった。面白かったのは、平日と週末とでメニューが変わったこと。平日は豆のスープと塩漬けの豚肉だけど、週末はちょっとだけ豪華なポテトパイ。食べ物の展示は、当時の船上での生活をぐっと身近に感じさせてくれる。 平日メニュー。これを毎日食べなきゃいけなかったのか… いやー、面白かった! これは船に興味がなくても楽しめる。本当に来てよかった。 時間は11時過ぎなので、近くのグリニッジマーケットでお昼にすることにしよう。ここは様々な屋台が並んでいる場所で、見ているだけで楽しい。僕は日本食の屋台から、から揚げ弁当を注文。まぁメニューには照り焼きソースがかかってるって書いてあったけどさ、何もそんなにドバドバかけることはないでしょ! ご飯まで甘い照り焼きソースでベショベショになってるし。あまりにも重い感じだったので、半分くらいしか食べられなかった。まぁ、なんとなくそういう予感はしてたんだけどね(笑)。 グリニッジマーケットには食べ物の屋台が並んでる 照り焼きソースでドバドバになった、から揚げ弁当(£8) お昼を食べる前から、お腹の調子が少し悪いなとは思ってたんだけど、突然トイレに行きたくなってきた。から揚げ弁当の屋台の人に聞くと、2分ほど歩いたところに有料公衆トイレがあるらしい。行ってみると故障中…。それじゃさっき時間つぶしで入ったコーヒーショップで行くことにしよう。と思ったら、そこも故障中! えーん、やばいんですけどー! もう仕方がないので、近くのレストランに入ることになってしまった。食べる予定のなかったシーザーサラダまで注文しちゃって(笑)。でも最近野菜が摂れてない感じだったので、これでよかったのかも。でも今日はお腹の薬は持ってきてないんだよなー。最悪の場合、また薬局で買わなきゃいけないな。 さて、12時半の予約時間も迫ってきたので、旧王立天文台(Royal Observatory)に向かうとしよう。秋の色でいっぱいのグリニッジパークに入って、天文台への坂を上っていく。天気のいい日ならば、天文台の辺りからはロンドンの景色が見渡せるはずなんだけど、今日はあいにく霧で覆われていて何も見えない。 結構急な坂を上って旧王立天文台へ 霧に覆われていて見通しが悪い 旧王立天文台で一番の目玉といえば、子午線(Prime Meridian)。この線を基点として、西半球と東半球に分かれることになる。この線にまたがると、西半球と東半球の両方にまたがっているということ。観光客がみんな同じことをしていたので面白かった。 子午線をまたいで、世界をまたにかける 旧王立天文台の中には、天文学や時に関する展示があって、昔どのようにして星を観測していたか、また時計はどのようにして発明されたかなんかを学ぶことができる。想像していたのと少し違ったけど、それでもかなり楽しめたかな。Smartifyというアプリをスマホにインストールすると、展示の音声ガイドを聞くことができる。このインターフェースが凄まじくダメダメで、こういうことには強いはずの僕にも最初使い方がわからなかったほどだった。 『八角形の部屋』の中には望遠鏡などが置かれていたらしい 昔の時計の試作品は、まるで美術品のよう この天文台の建物の上には大きな赤いボールが取り付けられていて、毎日13時ちょっと前にそれが上がって、13時ちょうどに下に落ちる仕組みになっている。ニューヨークのタイムズスクエアでの年越しで行われるボールドロップの原点だ。12:58頃に一番上に到達した赤いボール。天文台の門の外には遠足中らしい子供たちがいるみたいで、みんなでカウントダウンしてくれたのでボールドロップをビデオに収めることができた。「5、4、3、2、1……ハッピーニューイヤー!」と叫ばれた時には、思わず吹き出しちゃったよ。ハッピーニューイヤー違う(笑)。 ボールが半分まで上がったところ ボールドロップにしばらく気を取られていたんだけど、気がついたら霧が少し晴れて遠くが見渡せるようになっていた。うん、気持ちのいい景色! 天気の良い春や秋の日には、この公園でのんびり過ごすのもいいだろうなぁ。 霧が晴れるといい眺め! この後はクイーンズ・ハウスを14時に予約してある。ここは肖像画がずらっと飾ってあるばかりでそんなに面白いとは思わなかったんだけど、無料だからあまり気にならない。唯一面白いと思ったのは、地球儀のアメリカの上に手を置いてパワーを示す女王の絵と、チューリップ階段と呼ばれる螺旋階段。これは英国で初めての、中心サポートのない階段らしい。今ではこういうのは珍しくないけど、当時は画期的だったんだろうな。 クイーンズ・ハウスの中。パラディアン様式らしい アメリカの上に手を置く女王の絵。マウントの原点 チューリップ階段は美しい さて、グリニッジでの観光も終わったので、ロンドンにボートで帰ることにしよう。カティー・サーク号の前の桟橋からは定期ボートが出ていて、地下鉄と同じように、入船時と退船時にスマホをかざすだけで使える。思えばテムズ川の上で船に乗るのは、これが生まれて初めてだな。移り変わる景色を見ながら、ロンドン中心部のEmbankment駅まで約40分。船に乗っているだけで観光になってしまうような旅だった。 西行きのボートに乗りこんでロンドンに帰ろう 夕食までにはまだまだ時間があるので、Embankment駅のすぐ近くのワインバーGordon’s Wine Barで時間をつぶすことにしよう。夏だったら外の席に座ると気持ちいいらしいんだけど、洞窟のようになっている中も味があって面白い。ワインだけ飲んで時間つぶししようと思ったんだけど、まだ早い時間だというのにかなりの人で賑わっていて、テーブルがなくて入れない人も出てきてた。そんな場所でワインだけでテーブルを占領しているのも悪いので、白ワインを一杯だけ飲んだ後は席を空けてあげることにした。 洞窟の中で飲むワインもいいもんだ 近くの薬局でお腹の薬を買ったりした後は、ショッピングで有名なオクスフォード・ストリート(Oxford Street)まで歩いて、長袖のシャツなんかを買い込むことにしよう。今回はヨルダンとエジプトがメインの旅だったので、Tシャツはたくさん持ってきたけど、長袖シャツは2着しか持ってきてないんだよね。もともとロンドンで買い物しようと思ってたし。ユニクロやH&Mを探したけどいいのがなかったけど、初めて入るNextとM&Sという店でシャツを3着とマフラーを買い込んだ。ここ3年ほど、ほとんど家から出ない生活をしていたので、衣類を買うのはものすごく久しぶりな気がする。ショッピングを終えて店を出ると、オクスフォード・ストリートはクリスマスの電飾が輝いていて、とても綺麗だった。 中華街は、どこの街でも賑やかだよね オクスフォード・ストリートのクリスマス電飾 ここから賑やかな街を歩いて南下して、今夜予約しておいたレストランへ向かう。今回の旅では、ミシュランの『ビブグルマン』マークのついたレストランを片っ端からトライする予定。ミシュランの星付きレストランはかなり高価なことが多いけど、ビブグルマンは「安価で良質」なレストランに与えられるマーク。今夜は中東料理のThe Palomarでのディナー。 The Palomarはソーホー(Soho)にあるカウンターがメインの小さな店だけど、そのカウンターの一番端に通された。目の前はキッチン、しかも真ん前で仕事している人はシェフらしい。これは嬉しいセッティングだ。カクテルも、この店の名物らしいKubanehと呼ばれるフカフカのパンも、それにつけて食べる辛いShifkaもHarissaも、メインに頼んだタコも、どれも最高に美味しかった! 物静かそうだけど怒らすと怖い感じのシェフが、たくさんの人に的確な指示を与えるのを見るのも楽しかったし。いやー、こんなハイレベルな食事をしたのは本当に久しぶりな気がするな。ちなみに、カクテル一杯、ワイン一杯、パン、ディップ、タコで、合計£83.23だった。まぁ勧められた白ワインが一杯£20だったし、カクテルも安くはないし。でもこの値段でこのクオリティってのは、さすがビブグルマン!と実感した。 目の前でシェフが仕事してるのを見れる! どの料理も本当に美味しかった! すっかり満足した後は、Tottenham Court Road駅まで歩いて、地下鉄でアパートに帰った。お腹の調子は悪かったけど、足は完全に回復したみたいだし、プラン通りに旅を続けられて本当によかった。
by alexsea
| 2022-11-14 00:00
| 旅行記
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