From Seattle, WA, USA
by Alex
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シアトル在住のAlexです。
ソフトウェアデベロッパーをやっていましたが現在は休憩中。日本にいるときには役者をやってたりしました。歌ったり踊ったり、食べたり飲んだりが大好きです。

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ロンドン2022: バタシー・パワー・ステーションと『ハミルトン』

今日も雨の予定だったはずが、予報を見ると曇りだけど雨は降らないらしい。ロンドンにいる間ずっと雨の予報ばかり見て覚悟していたので、すごくラッキーに感じる。雨が降って大変だったのは、コッツウォルズに行った時と、リヴァプールの2日目だけ。これは本当に感謝しなきゃいけないと思う。

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駅に行くまでの道で見つけた近所の小路。
こんな雰囲気、大好きだ

10時頃アパートを出て地下鉄の駅に向かう途中、いつも使うランドリーの前に、最初不愛想だと思ったお兄ちゃんZaneがいて、僕を見ると手を振ってくれた。ロンドンに来てから知り合いになった人がほとんどいないので、顔見知りのように手を振ってくれたことがすごく嬉しかった。これで今日一日ハッピーに過ごせそうな感じ!

さあ、バタシー・パワー・ステーション(Battersea Power Station)へ向かうことにしよう。ここは1930年代に建設された火力発電所で、1980年代まで稼働していた場所。閉鎖後、紆余曲折を経て、今年10月の終わりにショッピングセンターとしてオープン。レンガ造りのファサードや煙突を残したままの姿で、また中も以前コントロールルームとして使われていた場所が残っていたりするらしい。この場所のことを偶然ネットで知って以来、行きたいと思っていた。

煙突の一つの内部にはエレベーターが組み込まれて、地上109mの高さから360度のパノラマを見渡せるLift 109が最近稼働し始めた。エジプトのナイル川クルーズの最中に、Lift 109のチケットが売り出されたというメールを受け取ったので、今日の11時を指定してチケット(£14.45)を買っておいたんだ。

バタシー・パワー・ステーションはアパートからは交通の便が悪く、地下鉄でスローン・スクエア(Slone Square)駅まで行った後、20分歩かなければならない。初めて行く場所だったし、ロンドン中心部のように混んでるわけじゃなかったので、音楽を聴きながら歩くのは楽しかったけどね。

テムズ川の向こうにバタシー・パワー・ステーションが見え始めた時には感動! 大体僕は工場萌えする人なので、こういう景色にとても弱い。近づくにつれて周りが少しずつ賑やかになっていって、バタシー・パワー・ステーションの前には小さなクリスマスマーケットと一緒に、スケートリンクができていた。平日の朝10時半頃なのに、もう何人か滑っていたのにはちょっと驚いた。

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テムズ川の向こうに見えるレンガ色の建物と煙突

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近づいてみると、とても巨大

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すぐ前にはアイススケートリンクもできていた

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中に入ってすぐのところ

さて、まずはLift 109に向かうことにしよう。サインが出てないから色々な人に聞かなきゃいけなくて大変だったけど、ようやくLift 109の入口に到達。……なんだか不穏な空気が流れてるんですけど。僕の前に並んでいる人たちが係の人と話した後、列を離れていく。僕も係の人と話してみると、今日は12時までエレベーターが稼働しないことになってしまったので、向こうのショップで別の時間に再予約しなおすか返金してもらわなきゃいけないらしい。えー、そんなー! 明後日にはロンドンを発ってしまうのに、今日・明日のうちに再予約なんてできるわけないじゃん! あー、あと1時間遅くの予約にしていればよかったのに…。僕は結構肝心なところでラッキーなことが多いけど、今回は肝心なところで貧乏くじを引いてしまったらしい。まぁ旅が続けられなくなったとか、そういう大変なことじゃないからよかったのかもしれないけど、楽しみにしていただけあって、すごくガッカリしてしまった。

悩んでいても仕方がないので、どんどん長くなっていくショップの列に並ぶことにする。10分ほど並んで、あと5人ほどでショップの人まで到達というところで、別の係の人が「11時以降予約の人は入口に並んでくださーい!」とみんなにアナウンス。えっ、11時の予約は救われた?! またさっきの入口のところに並ぶと、そこの係の人はそんなニュースは聞いていないと言う。しばしまた不安に過ごした後、結局11時の回から入れてもらえることになった。きゃー、神様ありがとー! ぎりぎりセーフで救われた! 「ラッキーであること」を頼ってはダメだけど、こういう時には本当に心から感謝!

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Lift 109の入口には数々のディスプレイがある

記念写真の撮影から始まって(後でお金出せば買えるヤツ)、みんな(20人ちょっとかな)部屋に入れられて、四方の壁に映し出される「プレゼンテーション」を観る。炎が燃えて、水が水蒸気に変わって流れていく。そして最後はバタシー・パワー・ステーションが建設されていく姿がCGで映し出される。それ自体は結構陳腐な「プレゼンテーション」だったんだけど、壁の近くで動いたり手を振ったりすると、壁の炎や水が動きに応じて変化するのは面白かった。まぁだから何?って感じなんだけど(笑)、エレベーターで上がって景色を見るだけじゃ物足りないと思う人たちのためなのかもしれない。

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面白かったけど、なんだかちょっと変なオープニングショー

プレゼンテーションが終わった後は、2つの普通のエレベーターに分かれて乗って、大エレベーターの搭乗階まで上がっていく。と思ったら、エレベーターを降りた後、大エレベーターに乗るまでに、ちょっと螺旋階段を上っていかなきゃいけなかった。構造上の理由でこうせざるを得なかったんだと思うけど、これじゃ車椅子の人とかはLift 109を利用することができないんだろうか?(今調べてみたら、ハンディキャップの人たちは専用のエレベーターを予約できるらしい)

その後、煙突の中の大きな楕円形のエレベーターに乗りこみ、いざ煙突のてっぺんへ! 上を向くと空がどんどん近づいてくるのが見える。煙突からエレベーターだけが顔を出した瞬間には、みんな声を上げていた。これはかなり感動するよー。僕も子供に戻ったみたいにドキドキしちゃったもの。360度見渡せるロンドンの景色。他の3本の煙突も見えるし、ここからだとバタシー・パワー・ステーション自体がどんなに大きいかもわかる。頂上で僕らが自由に写真を撮ったりできる時間は7分間だけだけど、僕には充分な時間だと思った。エレベーターが煙突の中に潜っていく時もワクワクしたなぁ。

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大エレベーターの中から上を見上げると空が見える

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煙突の上に出た時には、みんな驚きの声!

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地上109m。すぐ下にはパワーステーションの建物が見える

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煙突の上にいられる時間は7分間。
みんな写真や動画を撮りまくってた

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煙突の中に潜った瞬間。
エレベーターの仕組みがスゴイ

あー、Lift 109を経験できてよかった! ショップに行くと、さっき撮ってもらった写真が4枚に加工されている。結構普通っぽいんだけど、まだかなり興奮していたし記念だということで、4枚ともデジタルで買ってしまった。デジタルだと1枚£5だけど、4枚全部だと£12。メールアドレスと電話番号を入力すると、そこにリンクを送ってくれるらしい。

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これはレトロ風に加工してくれた写真

さて、興奮してお腹も空いたので何か食べることにしよう。今夜は17:15にレストランを予約してあるので、あまり重い食事はダメだ。というわけで、Paris Baguetteというサンドイッチショップで、ハムとチーズのバゲットサンドイッチを食べることにした。温めてくれるのでチーズが溶けていて美味しそうなんだけど、味自体は淡白で感動のない味。あまりに淡白だったので、1/3残してしまったほど。うーん、バゲットっていう言葉が店の名前に入ってるくらいなんだから、もっと美味しくしてくれよー。

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美味しそうなんだけど、美味しくなかった

この後は、コントロール・ルームBというバーで、カクテルを飲むことにした。ここには火力発電所時代の制御システムが残されていて、それをインテリアに取り入れてある。僕みたいな工場萌えタイプにはピッタリなバーだ。残念ながらカウンター席に座らされてしまったので、飲みながら制御システムを間近に見ることはできなかったんだけど、The Synchroscope(£13.50)というカクテル自体は軽くて爽やかで美味しかった。ここは友達とみんなで来て、ワイワイやりたい場所だなぁ。

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コントロール・ルームBは、とてもカッコいい

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カウンターに座ってカクテルを飲む

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席の後ろには、昔の制御システムが

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こんなソファに座れたら制御盤を眺めながら飲めたのに!

ショッピングセンターなんだから、店も見てまわらなきゃと思ったんだけど、買いたいものがあまりないので困ってしまう。唯一Swatchショップに入って腕時計を見てみたんだけど、いいデザインのヤツは£150でちょっと高いのでパスすることにした。今は腕時計してないんだけど、旅でもしない限りあまり困らないんだよね。もうこの旅も終わりに近いし。

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とにかくデカい。
まだオープンしていない店舗もいくつかある

バタシー・パワー・ステーションの所々には昔の機材が残されていて、近くのプレートに解説が書いてあったりする。昔のクレーンからは車が釣るされていたりとか、そういうプレゼンテーションは面白いと思った。

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クレーンで車を吊り下げてある

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バタシー・パワー・ステーションの裏には、とても変わった形のビルが。
たぶんみんなコンドかアパートなんだろう

バタシー・パワー・ステーションがどんな歴史を持っているかを説明した小さな博物館もあったので、ちょっと入ってみたりした。稼働停止してからアジア人の投資家に買われたりしたんだけど、このショッピングセンターになるまでに約40年弱かかったというのは驚きだ。全世界的なバブル崩壊とかも関係してるんだろうなぁ。

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こんな状態で、かなり長い間放置されていたらしい

ショッピングはしなかったけど、堪能しました。地下鉄の駅まで20分ほどまた歩いて、アパートに戻って昼寝。今日はロンドンで最後のミュージカルを観る予定なので、しっかりと体力を回復しておかなければ。

16:45頃またアパートを出発して、ピカデリーサーカスまで地下鉄で行く。駅から徒歩2分のところにあるのが、今晩予約してあるビブグルマン付きレストランBrasserie Zédel。17:15の予約で中に入ると、1930年代くらいを思わせるようなインテリアで感動した。

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ピカデリーサーカスも、もう見納めかな?

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レストランの中はレトロで素敵

ここは本格的なフランスのブラッスリーらしく、メニューもフランス語で書かれたものが出てきた。英語のメニューも頼むことができるらしいけど、ここはフランス語を読んでみなければ。3コースのセットメニューが£19.50で、これがなかなかよさそう。アペタイザー、メイン、デザートと、それぞれ2種類の中から選ぶことができる。アペタイザーはカリフラワースープ(Crème DuBarry)、メインはステーキ・アッシュ(Steak Haché)、デザートはチョコレートのタルト(Délice au Chocolat)を選択。どれもなかなか美味しかった。ステーキ・アッシュは、いわばハンバーグのフレンチ版で、ペッパーコーンソースをかけてある。黒胡椒の香りがしてとてもよかった。これから舞台を観るんじゃなきゃ、ワインを飲みながら食べたいところだったのに…。

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なかなか美味しかった!

さて、これからまた地下鉄に乗ってヴィクトリア駅へ。この間の『ウィキッド』の劇場もこの駅の目の前だったけど、今回もこの駅の近くのヴィクトリア・パレス・シアター(Victoria Palace Theatre)。今回は一番安い席(£39.50)なので、一番上まで階段で上ってそこで待つ。ネットで僕の席、グランドサークルH19の場所を調べてみると、一番後ろから2番目の列の通路側。それじゃ早く座ると人が入る度に立ち上がらなきゃいけないな。ってことで、開場してもしばらく外の椅子に座って待つことにした。

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ヴィクトリア・パレス・シアターは歴史を感じさせる建物

席に着いてみると、『カム・フロム・アウェイ』と全く同じような席。舞台が見渡せてとてもいい感じ。……だったんだけど、目の前に結構大きな女性が座ってしまったので、舞台半分の手前が彼女の頭で隠れてしまった。あー、これはちょっとヤバイやつだ。舞台が始まってからは、彼女も前の人の頭が邪魔らしく、右や左に頭を動かす動かす。大事なところで視野が遮られてしまうので、僕は常に通路側に傾くようにして、そして後ろの人のために頭を動かさずに舞台を観ることにした。後ろの人はかなり背が高い人だったし、通路とは反対側の彼女にくっついてるみたいだったから、あまり気にしなくてもよかったのかもしれないけど、まぁ気にしてしまうのも僕の性格ということで。

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一番安い席だけど、なかなかよかったと思う

舞台自体はすごく良かった。事前にミュージカル好きの友達に、「歴史モノとか全然好きじゃないんだけど、それでも『ハミルトン』観て楽しめる?」と聞いたら、「もちろん! でもYouTubeで字幕付きのサウンドトラックを聴いて、予習しておいた方がいいよ」と言われたので、その通りにしておいた。そうしておいて大正解! 音楽やセリフが全てラップ調なので初めてだと聞き取りづらいし。もしこれを聞き取れなかったらストーリーが全然わからなかったと思う。初見でも大丈夫だったかもしれないけど、一度でもサウンドトラックを字幕付きで聴いたことで、舞台をより深く理解できたと思う。アメリカがイギリスから独立した当時の実話を元にした話を、ラップ調でファンキーな音楽を使って語るこのミュージカル。すごくよかったけど、やっぱりメインテーマが「歴史」と「戦争」という、僕の興味から外れるものだったので、もう一度観たいかと言われたらNoと応えると思う。音楽はすごくキャッチ―(耳に残る感じ)で、今でも時々何曲かが頭の中でリプレイする時がある。

ロンドンでは舞台を5つ観たことになる。一番感動したのは、なんといっても『カム・フロム・アウェイ』だったなぁ。一番安い席だったにも関わらず、ストーリーと曲と舞台運びで、僕の度肝を抜いてくれた。舞台装置がすごく凝ってるわけじゃないし、衣装もスゴイわけじゃない。それでも物語の世界に引き込まれて、舞台のキャラクターと一緒に世界を生きた気がした。2番目に良かったのは、舞台最前列で観ることができた『ウィキッド』。以前観たことがあるとはいえ、やっぱり役者の表情があんなに近くに見れると全然違う。『ハリーポッターと呪いの子』も、『ライオンキング』も、『ハミルトン』も、みんな素晴らしかったことには変わりない。ロンドンでこんなにたくさんの舞台を観ることができて、本当によかった。それにしても、安い席は結構侮れない。シアトルでもそういう経験ができないかどうか、調べてみることにしよう。

通路側なのをいいことに、アンコールの直後にすぐ席を立って出口に直行。最初の客として劇場を後にした。明日はロンドンでの最後の一日だ。アパートに帰り着いたら、旅行記も書かずにベッドに飛び込んでしまった。
by alexsea | 2022-12-05 00:00 | 旅行記 | Comments(0)
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